やることが10個あるとき、10個ぶんの重さが同時にかかります。実際に手を動かせるのは1個ずつなのに、頭の中では全部が並行して待っています。この状態では、どれから手をつけても間違っている気がしてきます。
量が問題ではなく、同時に見ていることが問題
10個を1個ずつ片付ける分には、体力的には可能です。動けなくなるのは、10個を同時に見ているからです。
同時に見ていると、優先順位を決める作業が常に走ります。Aをやっている間もBとCの締め切りが気になり、集中が切れます。切れるたびに、また全体を見直します。作業より、見直しに時間を使っている状態です。
まず、頭の外に出す
最初にやるのは、優先順位づけではなく書き出しです。紙でもメモアプリでもよいので、思い浮かぶものを全部出します。
書き出す効果は、忘れてよくなることです。頭の中に置いておく必要がなくなるので、1つに向かえるようになります。順番を考えるのは、書き出したあとです。
「今日やらないもの」に印をつける
書き出したら、優先順位をつける前に、今日やらないものを決めます。やることを選ぶより、やらないことを決めるほうが早く終わります。
やらないと決めたものは、その日は見ません。見ないと決めた分だけ、視界が軽くなります。全部を今日やる前提でいる限り、量は減りません。
残ったものから1つだけ選ぶ
残ったものの中から1つ選びます。選び方は、重要度でも締め切りでもかまいませんが、迷ったら「いちばん早く終わるもの」にします。
早く終わるものを選ぶ理由は、進んだ実感が次の作業を軽くするからです。焦っているときは、正しい順番より、動き出せる順番のほうが役に立ちます。
選んだ1つ以外を物理的に隠す
選んだら、他のものを見えない場所に移します。メモを閉じる、タブを閉じる、机の上の書類を裏返す。
視界に残っていると、それだけで意識が持っていかれます。隠すのは根性の代わりです。意志で無視しようとするより、見えない状態を作るほうが確実です。
30秒だけ触る
選んだ1つに、30秒だけ触ります。開くだけ、1行書くだけで構いません。
触ると、その作業の実際の大きさが分かります。頭の中で膨らんでいた見積もりが、実物に合わせて縮みます。縮んだあとは、続けられることが多いはずです。続かなければ、その日はそれで終わりにします。
全部やろうとしていた自分を責めない
量に圧倒されるのは、抱えている量が実際に多いからです。段取りが悪いからではありません。
減らす判断をするには、いったん全体を見る必要があります。見た結果として動けなくなるのは、順序として自然なことです。書き出して、やらないものを決めて、1つ選ぶ。この手順を毎回踏めば、量が多い日も同じやり方で通せます。
書き出したリストは消さずに残す
やらないと決めたものを消してしまうと、翌日また同じ書き出しから始めることになります。残しておけば、翌日は選ぶところから始められます。
残しておくと、同じ項目が何日も居座っていることにも気づけます。何日も動かない項目は、たいてい大きすぎるか、そもそもやらなくてよいものです。どちらかに判断すると、リストは短くなります。
人に渡す判断を選択肢に入れる
量が多すぎる状態を1人で処理しようとすると、どこかで破綻します。渡せるもの、断れるもの、後日に回せるものを探すのも作業の一つです。
この判断は、余力があるうちにやるほど選択肢が多くなります。限界まで抱えてから相談すると、相手にも余裕がありません。早い段階で共有しておくほうが、結果として全体が早く進みます。
終わったものを見える場所に残す
片付いた項目を消してしまうと、進んだ実感が残りません。取り消し線で残すか、別の場所に移して見えるようにします。
やることの数だけを見ていると、いつまでも減らない印象になります。終わったものが並んでいれば、同じ日でも「進んだ日」として認識できます。焦っているときは、この認識の差が次の行動を左右します。