勉強が始められない理由の多くは、「理解しなければならない」と構えてしまうことにあります。

理解をゴールにすると、開けなくなる

教材を開く前に「今日はここを理解する」と決めると、開くまでのハードルが一気に上がります。理解には時間も集中力も必要で、いまの自分にそれがあるかを考えているうちに、開かないまま時間が過ぎます。

しかも理解は、一度で達成できるものではありません。にもかかわらず一回の勉強に理解を求めると、達成できなかった日が「失敗した日」になります。失敗が続けば、教材そのものが嫌になります。

ゴールを「接触回数」に置き換える

そこで、その日のゴールを理解ではなく接触に変えます。

  • 教材を開く
  • 見出しを一つ読む
  • 昨日読んだところをもう一度眺める

これだけで、その日は達成です。物足りなく感じるかもしれませんが、目的は一日の成果ではなく、教材を開く習慣が途切れないことです。

繰り返し触れることが、結果的に理解になる

同じ内容でも、間隔をあけて何度も触れるほうが記憶に残りやすいことは、学習の分野でよく知られています。一度で完全に理解しようとするより、浅くても複数回触れるほうが効率がいい場面は多いのです。

つまり接触回数を稼ぐ方針は、妥協ではなく合理的な戦略でもあります。「今日は開いただけ」で構いません。それが十回積み重なれば、内容は自然に馴染んできます。

分からないところは飛ばして進む

接触回数を優先すると決めたら、分からない箇所で止まらないことも大事です。

止まって粘るのは、時間と気力に余裕がある日にだけ許される贅沢です。余裕がない日に粘ると、その一箇所で終わり、次の日から教材が「あの嫌な場所」になります。

分からなければ印だけ付けて先に進みます。先を読むと前の内容が分かることは珍しくありません。順番どおりに理解しなければならない、という決まりはありません。

開いたまま閉じない工夫

教材を開いたら、そのまま机に置いておくのも有効です。閉じてしまうと、次に開くとき再びゼロからの抵抗が発生します。開きっぱなしなら、通りがかりに目が落ちるだけで接触が一回増えます。

同じ理由で、勉強する場所は毎回変えないほうが楽です。場所が決まっていれば、そこに座ること自体が合図になります。

進んだ量ではなく、触れた日を数える

記録をつけるなら、進んだページ数ではなく「触れた日」を数えてください。

ページ数で記録すると、少ししか進まなかった日が失敗に見えます。触れた日で数えれば、開いただけの日も一日として残ります。続けることが目的である以上、残すべきはその事実です。

環境と記録のほうを変えて、意志に頼る場面を減らしていきましょう。

時間ではなく回数で計画する

勉強の計画を「1日2時間」と時間で立てると、時間が取れない日は最初から諦めることになります。

代わりに「1日1回開く」と回数で立てると、5分しかない日でも達成できます。時間があるときは自然に長くなるので、上限を決める必要はありません。決めるのは下限だけです。

得意な範囲から始める日を作る

気力が低い日に、いちばん苦手な範囲から始めると、そこで終わります。

そういう日は、すでに分かっている範囲を読み返すだけにします。復習は接触回数として十分に価値があり、しかも抵抗が小さい。苦手な範囲は、調子のいい日に回してください。順番を選べることも、続けるための工夫の一つです。

教材を増やさない

不安になると新しい参考書や講座に手を伸ばしたくなりますが、教材が増えるほど「どれをやるか」の判断が増えます。

判断が増えると着手が遅れ、どれも中途半端になります。いま持っているものを最後まで使い切るほうが、接触回数は確実に増えます。教材選びに悩む時間は、そのまま勉強しない時間です。