先延ばし対策として「2分でできることはすぐやる」という基準が知られています。有効な基準ですが、これは片付けや返信のような、やることが決まっている場面に向いています。
2分ルールが効かない場面
2分ルールが効きにくいのは、これから何かを始める場面です。企画書を書く、勉強を始める、運動を始める。こうした場面では、2分で終わる単位がそもそも見つかりません。
見つからないので、「2分では終わらないから、まとまった時間にやろう」となります。そしてまとまった時間は来ません。基準が現実に合っていないと、基準そのものが先延ばしの理由になります。
10秒なら、必ず何か見つかる
そこで単位を10秒まで下げます。10秒でできることは、どんな作業にも必ずあります。
- 企画書:ファイルを開いてタイトルだけ打つ
- 勉強:教材を開いて、目次を眺める
- 運動:靴を履く
- 掃除:床の物を1つ拾う
- 返信:一番短いメールを開く
「終わらせる」ためではなく「触る」ための単位です。触った状態と触っていない状態は、翌日の自分から見ると別物です。
10秒で終える練習をする
10秒を試すとき、多くの人はそのまま続けようとします。続いた日はよいのですが、続けることを前提にすると、次から10秒が10秒に見えなくなります。
そこで、あえて10秒で終える練習をします。タイマーが鳴ったら手を止めて、椅子から離れます。中途半端で終わることに慣れておくと、開始のハードルが下がったままになります。
「ゼロではない」ことに意味がある
10秒に意味があるのかと聞かれれば、その日の進捗としてはほとんどありません。意味があるのは連続性のほうです。
毎日10秒触っているものは、頭の中から消えません。消えていないので、次に時間ができたときすぐ戻れます。逆に1週間触らなかったものは、内容を思い出す作業から始めることになり、その分だけ重くなります。10秒は進捗ではなく、記憶を保つための投資です。
調子のよい日に基準を上げない
10秒で始めて1時間やれた日があると、翌日から「1時間やるもの」として見積もりが変わります。ここが崩れる分岐点です。
うまくいった日を基準にしないでください。基準は10秒のままにして、たまたま長くできた日は例外として扱います。基準が低いままだと、悪い日も基準を満たせます。満たせる日が続くことが、続いている状態です。
今日の10秒を決める
止まっている作業を1つ選び、その最初の10秒を決めます。決めたら、今すぐやります。決めた直後が一番動きやすい瞬間です。
終わったら、そこで止めて構いません。10秒でも動いた日として数えてください。
10秒を「準備」に使う
10秒で作業に触れない場合もあります。パソコンの起動に時間がかかる、道具が別の部屋にある、そういう物理的な事情です。
その場合は、10秒を準備に使います。ノートパソコンを机に置く、道具を1つだけ持ってくる、作業する場所の物をどける。準備は作業の一部です。準備が終わっていれば、次に時間ができたときすぐ入れます。
準備を「まだ何もやっていない」と数える必要はありません。開始までの距離が縮んだ分だけ、確実に進んでいます。
2分ルールと併用する
10秒ルールと2分ルールは、対立しません。役割が違います。
すでにやることが決まっていて短く終わるもの(返信、片付け、支払い)には2分ルールが向いています。これから始めるもの、終わりが見えないものには10秒が向いています。
手元のタスクを見て、「決まっているか、決まっていないか」で使い分けます。決まっていないものに2分ルールを当てると機能しないので、その場合は10秒に落とします。
10秒でも記録に残す
10秒の効果は1日では見えません。見えるのは、2週間ほど続いたあとです。
そのため、記録に残しておかないと効果を判断できません。やった日に印をつけるだけでよいので、残しておきます。印が並んだ状態を見ると、10秒でも触り続けたことが形になって分かります。